日本各地の海苔、食べくらべ。
▪色、香、味を決める自然環境
海苔の色や香り、味、柔らかさなどは、育つ環境によって違ってきます。たとえば日ざしの強い西日本の海苔は、柔らかくうまいけれども、色は赤みの強いものが多くなります。一方、瀬戸内海や外海に面した漁場の海苔は黒みが強く、光沢もすぐれていますが、葉質が硬いためにうまさを感じにくいといえるでしょう。
海の水質、水温はもちろん、日照量や漁場の地形まで、自然環境が海苔に及ぼす影響にはたいへん大きなものがあります。
▪各産地別の特性
[有明海]
日照量や養殖方法の関係で色はやや赤みがかっていますが、アミノ酸など味をつかさどる成分が豊富です。しかも葉体が柔らかいため口中での溶け出しが早く、うまいと感じる海苔が多くなっています。また、柔らかく、しなやかな海苔なので加工特性もすぐれています。
[瀬戸内海]
黒みが強く、つやも良好な海苔です。また、焼き色や香りも良いのですが、有明海などにくらべてやや硬い海苔が多く、味の面でも劣っている感じを受けます。
[東海]
内湾の河口漁業では、有明海に似た性質をもった柔らかい海苔が育っています。しかし外海に面した漁場で採れた海苔は、海流や塩分の影響を受け、色やつやは良いのですが、瀬戸内海よりさらに硬く、うまみの溶け出しにくいものが多くなっています。
[関東]
内湾の海苔は、栄養塩が多いこともあって非常に色つやが良く、味も良いものがあります。しかしアオノリや珪藻の混入も多く、平均的には前途の生産地にくらべてやや劣る海苔が多いようです。外海に面した漁場の海苔は、硬いけれども色つや、香りがすぐれています。
[東北]
全国でもっとも早く生産が始まる地域です。他の漁場にくらべて豊凶の差が大きく、品質的にも今一歩。割れなど、加工段階での障害も少なくありません。
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